アメリカ在住の方々に不評なもののひとつがこちらの高額な医療費、そしてややこしい医療保険。日本の単純明快な医療制度に慣れていると「ワ〜」って叫びたくなります。今日はアメリカで高額な医療費の請求書を受け取ったら鵜呑みにして支払うなというお話も書いています。 

 絵日記:アメリカの難解な医療保険にクラクラ

五十肩に苦しんでいるので
治療のために理学療法へ通っています。

これまでの五十肩・理学療法のお話はこちらから:
アメリカの病院で予約を入れるのは

専門医に見てもらいたいのだけれど保険って
どうなるの?


どうしても苦手な音ってありますか?


私の加入している保険では一回の訪問ごとに30ドル支払ってくださいとのこと なのでクリニックで支払っていました。
30ドルはだいたい3300円

そんなある日、保険会社から郵便が

「何、これ?」 ◯月1日 175ドル ◯月4日 175ドル ◯月7日 175ドル ◯月9日 175ドル 175ドルはだいたい2万円 ということはこの短期間で8万円?

「これは請求書ではありません」
と書かれているけれど、では何なの?

不安になって丁寧に読んでみたけれど
この紙の目的が何なのか
全く分かりません。

ただ

「この請求は承認されませんでした。この決定に意義があるならば必要な手続きをとってください」という一文が 「あなた、これで安心してほうっておけますか?」

もちろん、ほうっておけません。
そして1回2万円の理学療法を
受け続けることなんてできません。

とりあえず、念のため
クリニックに入れていた
二週間分の予約をキャンセルして
保険会社へ電話をすることに

「こんな紙が送られて来たのですがちょっと訳が分からないので説明してもらえますか?」「これは診察に行かれるとシステムが自動的にみなさまにお送りしているものです」

ある意味、なんの説明にもなっていません。

「ということはこの金額を払わなくていいということですか?」「それはこれから私どもの会社とクリニックとの交渉によります」

その交渉の結果がいつごろ分かるのか
聞いてみましたが
いまいち、要領を得ません。

「1回、2万円を払わないといけないかどうかわからないのに3日に1回、理学療法にはさすがに怖くて行けないのですが なのでもう先の予約もキャンセルしたのですが」

と言ってみると

「なんてこった、それはいけないよ。病院にはちゃんと行かないと」

でも毎回2万円を払わないと
いけないかどうかわからないままで
クリニックに行き続けられません。

なのでそう繰り返してみると

「ちょっと待って、君が行っているクリニックが僕たちのネットワークに参加しているかチェックしてみるから」「待っててね、待っててくれるよね」

「いや、入っているのは分かっているんだよ
それを調べたうえで、このクリニックに
行っているんだから」って思ったけれど

お兄さんの熱意に押されて待ってみました。
もうこの時点で、「もうどうでもいいよ」
という気持ちですが
会話はまだまだ続きます。

「お待たせ、ちゃんとネットワークに入っているよ」「でも、2万円払わないといけないかもしれないんでしょ」「なんとも言えないよ」

もちろん
この係のお兄さんの責任ではないのです。

そんなことは分かっているのです。
でも、この電話の会話は録音されているし

ある意味、お互い
引くに引けない状態に

そして電話での会話はこのように終わることに

「やっぱり不安なのでクリニック行くのちょっと控えます」「、、、」「わかりました、では良い1日を」「そして良い理学療法を!」

「行けない」
「行って」
「行けない」
「行って」
なんだか会話が無限ループに、、、
なんか、ただただむなしい
 

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途中から私もムキになって大人気なかったかなって思いますが、この状況で私が病院に行かなくなって肩の状況が悪化して私が訴えでもしたら大変なので「私たちの会社は全力で病院に行くように勧めました」という姿勢が必要なのでしょう。

そうこうしていると理学療法のクリニックから電話がかかってきて「このままでは治療は続けられません。もう一度、ホームドクターに行って理学療法が必要だというリファラル(紹介)をもらって来てください」とのこと。

「えっ、また一からやり直せって?」 この時点で疲れ果てて理学療法にでかけるのを止めてしまいました。まあ、家で運動すればいいし、しょせん五十肩だしと思って。

 アメリカの保険会社から送られてくるEOBとは

アメリカ医療保険で使われる言葉

 Explanation of Benefits 

さて、今回、私が受け取った書類はExplanation of Benefits(EOB)と呼ばれるもので、病院で診察して1ヶ月後くらいに郵送されてきます。

この説明書、請求書ではありません。私の保険会社は書類にも「これは請求書ではありません」と大きく書いています。

ではなんなのか? この疑問の前にまずこの書類に登場する単語を紹介させてください。

 Provider

これは私が診察を受けた医師や病院の名前、また理学療法センターの名前です。

 Billed Amount

ここに記載されている金額はProviderの医師や病院が請求している金額です。理学療法では1回175ドルが請求されています。

ちなみに念のために肩のレントゲンもとってねと言われてとった2枚のレントゲン。このBilled Amount は985ドル(約10万円)でした。高額すぎて倒れそうです。

 Deductible

年間の免責額です。購入しているプランによっては保険のサービスを受ける前に自己負担しないといけない金額が決まっている場合があります。

私たちの医療保険ではゼロですが、例えばうちのネコの保険の場合は年間に2万円くらいまでは自分たちで払わないといけません。2万円を超えて初めて保険がカバーしてくれます。

 Copay

診療の際に患者が負担をしないといけない金額がプランによって決められています。

私たちの場合、プライマリーケアドクター(ホームドクター)に見てもらうと20ドル(2200円)、専門医で30ドル(3300円)。ということで、わたしは理学療法へ行くたびに受付で30ドルを支払っていました。

 Paid Amount

保険会社が医療機関に支払う金額です。

私の理学療法の場合、ここが「ゼロ」で注意書きに「その請求は承認されませんでした、、、」という文章が書かれていたので、不安になって電話をしたのです。

ちなみに985ドル(約10万円)のレントゲンの場合、ここは78ドル(約8500円)でした。

再びExplanation of Benefitsとは何なのか

さてここで再び、私が受け取った説明書(Explanation of Benefits)はどんな書類なのか考えてみましょう。

この書類は保険会社が医療機関と受診者に送付しているもので、保険会社が医療機関に支払った保険金額が欠かれています。

この書類によって医療機関は自分たちの請求額のうち、いくらを受診者に請求しないといけないのか、また受診者はどれだけの金額を自己負担しないといけないのかを知るわけです。通常は、、、

そしてその後、受診時に支払った金額(例えばCopay)以上に医療機関が請求する際には医療機関から受診者へ請求書が送られてくるという流れになります。

では差額はだれが支払うの?

さてここで問題なのがこの医療機関の請求額と保険会社の支払い額の差額を全額本当に受診者が支払わないといけないのかということ。

私の理学療法の例に戻ると、理学療法センターは175ドルを請求しており(Billed Amount)、保険会社は一円も支払わない(Paid amount)といっており、さらに私が受付で支払った30ドルも(Copay)記載されていませんでした。

私は30ドルを受付で支払ったうえに、さらにまた175ドルを支払わないといけないのかということです。それとも145ドル支払えってこと? どちらにしても続けて通うには高額です。

それで保険会社に電話したのだけれどあいまいな解答でよくわからなくてさらに混乱。

その後インターネットでいろいろと調べてみたところ、利用した医療機関が保険会社のネットワークに加盟している場合、ほぼこの差額は調整されてしまい患者さんには請求がこない場合が多いという情報をみつけました。

なのでしばらく様子を見ていたのですが、理学療法を止めてから約6ヶ月、理学療法センターから請求書が送られてこないということは、おそらくCopayの30ドル以上は支払わなくてよかったのでしょう。

ほっと一安心ですが「なんだかな〜」っていう気持ちはぬぐえません。それでは最初、医療機関が保険会社に請求した175ドルという金額はいったいなんだったのでしょう。

保険に入っていないと全額支払わないといけないの?

そしてもし保険に入っていなかったなら、この医療機関が請求する金額を全額支払わないといけないのでしょうか。

私の理解は支払わなくてもいいかもしれないけれど、それは交渉しだい。ただし保険に入っていると保険会社も交渉してくれますが、保険に入っていないと自己責任で交渉しないといけないのでとても大変だということはわかります。

ここはアメリカ、きちんと自己防衛しないとびっくりするような医療費を支払わないといけないことになってしまいます。

 アメリカで高額な医療費の請求がきたら

さて今回の私の理学療法、それでも2万円くらいの話をしています。この金額はアメリカ医療の基準から考えるとたいしたお金ではありません。

アメリカでは医療費は100万、1000万単位で襲ってきます。では高額の請求書がきたらどうすればいいのでしょうか。

保険会社に確認・交渉する

びっくりするような金額の請求書がきたらとりあえず絶対にしてはいけないのはそのまま鵜呑みにして支払うこと。

どこかで間違いがあったのかもしれませんし、もし間違いがなくても金額を交渉できるかもしれません。一度支払うと取り返すのはほんとうに難しくなります。

もし請求書の支払い額に納得がいかなければが、そして保険会社の負担額に納得がいかなければまずは保険会社に電話をしましょう。

なにかの手違いでここで解決するならいいですが、多くの場会い電話のオペレータとの電話のやりとりではらちがあきません。

まず、今、電話中の担当者の名前を確認し、さらに他に問い合わせができる部署を聞きましょう。

ここで何も進展しないようなら電話での問い合わせだけでなく書面で納得がいかない旨を連絡しましょう。EOBをよく見ると申し立てをする際の連絡先や方法が書かれているものもあります。

もし詳細な方法が書かれていなければ、最低限、保険番号や請求書番号、これまでの経緯を書き、EOBのコピーを添えるといいと思います。また、自分が送った手紙のコピーもとっておきましょう。

まず、おかしいなと思ったら待たないこと、素早く動きましょう。多くの場合、申し立てが出来る期間は治療日より数ヶ月と限られています。

また電話で連絡をするというのは早くアクションを取るために必要ですが、書面で記録を残しておくことも大切です。

医療機関に確認・交渉する

さらに診療費を設定し請求書を送っているのは医療機関です。なので医療機関にも連絡をとって請求額を細分化した明細をもらいましょう。

いったいどのような治療項目にいくら請求されているのかを確認して、おかしなものがないのかをチェックしましょう。

また、Healthcare Bluebook(https://www.healthcarebluebook.com/)というウェブサイトがあり、これを使うと請求金額が市場価格かどうかも調べる事ができます。

まず住んでいる地域の郵便番号を入れ、調べたい項目を選ぶと平均的費用が表示されます。かなりざっくりしていますが、何かの参考になるかもしれません。

そしてあまりにも納得のいかないものがあれば、きっちりと申し立てをするといいと思います。またはおかしいと思うことは保険会社にも連絡しましょう。

またプライマリーケアドクター(ホームドクター)がいる病院に相談してみる方法もあります。

私は健康診断の際にホームドクターに理学療法のことを世間話として愚痴っていたら、この病院にいる医療保険アドバイザーに相談することを勧められました。

私の場合は金額も金額だし追加の請求もこなかったので相談しませんでしたが、こんな方法もあるのだなと思いました。

また多くの病院には支払い担当部署や支払いアドバイザーがいるので、経済的にどうしでも支払えない状況にあるなら正直に支払えない理由を説明し、何らかの値引きや方法がないか相談してみるとよいと思います。

また誰かが言うことを鵜呑みにせずに、直接関係する機関にきっちりと自分で確認するのも大切です。

私は昔、高額の薬代がかかる治療を受けたとき、医療機関はこの薬代は私の保険ではカバーされないと言いはりましたが、保険会社にダメもとで聞いてみると保険がききました。

すべての交渉において、冷静に、丁寧に、自信をもって対応するように心がけましょう。絵日記の私のように理性的でなくなりムキになってもいいことはないのです。

プロに相談する

それでもどうにもならないときはプロに相談してみましょう。インターネットで「Medical billing advocates」「Medical bill advocate」で検索をかけると、いろいろな会社のウェブサイトがでてきます。

病院からの詳細な請求書や保険会社との契約をチェックして、間違っているところやおかしいところを見つけ、申し立てを代わりにしてくれます。

会社によって請求金額はまちまちです。初期費用はゼロで申し立てをして減額できた金額の25〜35%の成功報酬を設定しているもの、また1時間の相談料100から200ドル(約1万1千から2万2千円)といった設定をしているものなどもあります。

サービスを受けるのにかかる費用とその会社の評判、そして取り戻したい金額の大きさ、返金の難しさなど、いろいろな要素を考えて会社を決められるといいと思います。

さて、いろいろと書いてきましたが、本当は一番いいのは治療を受ける前にどのくらい自分のポケットから支払わないといけないのかを調べておくこと。

特に手術や歯科治療のような高額な治療をうける際には、あとでビックリしないためにも出来る手はうっておきましょう。

それにしても今回、ブログを書いている間に思い出したのは、昔見たマイケル・ムーア監督の映画「シッコ」。

アメリカの医療制度にものすごく批判的な映画で、医療保険に入っているのにも関わらず結果的に医療費の支払いを拒否され莫大な医療費に悩む人などが出て来て「怖い、怖い」と思ったのです。

医療保険も怖いのですが、そもそも医療費自体が高額なのも恐ろしいです。先月、1年に一回の健康診断に行ったのですが、簡単な問診と血液検査で病院の請求額は570ドル(約6万円)でした。

ちなみに最初の出産で1ヶ月入院して帝王切開した義妹。すべて保険でカバーされたけれど保険がなかったら何千万円というレベルだったと言っていました。

ということでアメリカにお住まいのみなさまだけでなく、アメリカへ旅行される方も万が一のことを考えてけがや病気をしっかりカバーする保険に入ってこられることをおすすめします。

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