ワシントン首都圏に戻ってくるときにいろいろと考えて分譲マンション(コンドミニアム)を購入することを決めていました。物件を探すのも大変だったのですが、物件が見つかってからも手続きがいろいろと大変でした。今日はワシントンDCの不動産購入手続きについてご紹介したいと思います。

 絵日記:いい物件は競争が大変

さて私たちの場合
気に入った物件を探すのも
なかなか大変だったのです。


それでも10件に1件くらい
いいなと思うものを見つけたのですが

ここから始まる
熾烈な物件獲得競争

まず私たちが引越ししたのは、新学期が始まる直前の8月 さらにワシントンDCは超売り手市場 ということで不利な条件でのスタートです。

さて気に入った物件が見つかると

ステップ1 オファー金額を決める 「この物件にしようよ 提示価格、5000万(仮)』だって 「じゃあ、オファー価格、4700万で試してみる?」

提示価格とは売り手側が
事前に設定している「売りたい価格」

オファー(申し出)価格は
買い手側が設定する「購入希望価格」

オファー価格が決まったら

ステップ2 オファーを入れる 「この物件に決めたので申し込み契約を用意してもらえますか」 私たちの不動産エージェント エリック 「大急ぎで書類を用意をして送るのですぐに署名して送りかえしてください」

「申し込み契約」とはオファー価格や購入条件を
記入して売り手側へ送る書類です。

この契約書に売り手が署名して初めて
私たちはその物件を「買う権利」を
獲得するのです。

くどいようですが超売り手市場

物件1 「売り手さんが4900万以下では売らないって言ってます」「町の中心地じゃないし4900万は出せないよね」「そうだね」「オファー引っ込めてください」


物件2 提示価格5000万(仮) オファー価格4800万で試してみる 「人気物件で3つオファーがあって残念ながら競り負けました」 どうやら私たちのオファー価格が低かったよう


物件3 提示価格5000万(仮) 「オファー価格4800万で試してみたいんですけれど」「この物件で4800万は売り手は侮辱されたと思いますよ(怒)」

この時点で20件以上の物件見学に
引きずり回され
すでにお疲れのエリック

さらに仮住まい生活も疲れてきて
以前住んでいた国から
荷物が送られてくる日も迫ってきた私たち


無事5000万で3件のオファーから
選ばれました。

「やった〜」「多分4900万でもいけたな」「誰かのせいで100万損した」「そんなのわかんないじゃん」「4900万なら負けたかもしれないし」「いや、いけた」

一生言われ続けるこの100万


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物件を毎日見てまわるので肉体的にもへとへとになります。さらにすごく気に入った物件があっても競り負けると精神的にもやられます。

しかもいい物件はものすごい早さで決まっていくので、オファー価格を素早く決めてその日のうちに書類を用意してもらって提出しないといけません。

そうなってくると「100万」の感覚がだんだん麻痺してきたのです。

物件探しは身体的にも精神的にもタフでないとだめだなと思った日々でした。

 不動産購入手続き:申し込み契約成立まで

1:銀行でローンの事前承認をもらう

不動産をローンで買うことを考え始めると、まずはざっくりとどのくらいの価格の物件を購入するか、またどのくらいの頭金(down payment)を支払うのか決めます。

この情報で銀行にコンタクトをとって、ローン(mortgage)が組めるかどうか、どのくらいの利息(interest rate)でお金を貸してくれるのかを問い合わせるのです。

提示した条件でローンが組めるようなら事前承認(pre-approval)を書面でくれますが、それは最終決定ではなく、利息も決定ではありません。

2:物件を探す

不動産業者を決めて、私たちが住みたい分譲マンションの条件を伝えて物件を探してもらいます。

あわせて自分たちでもインターネットの物件サイトを使って内見してみたい物件を探しました。

私たちが使ったのはこのサイト
Redfin: https://www.redfin.com/
Zillow: https://www.zillow.com/

このインターネットサイトで見つけた物件を不動産業者に連絡すると、彼が内見の手配をして連絡してくれるという流れです。

同じインターネットサイトを見ていても、夫が、私が、そして不動産業者が見つける物件がそれぞれ違っていて、見落としも多いので複数で探すのはいいかもしれません。

内見は面倒くさいようでも必ずしましょう。部屋の明るさや騒音、床や壁の状態、ロビーや廊下の状況など行ってみないと分からないことがいっぱいです。

また人間の記憶はすぐあいまいになるので、私たちは内見した物件は写真とビデオを撮りました。

それでもどうしても気になるところがあると同じ物件をもう一度、見せてもらったりもしました。

また気に入った物件のある建物周辺もかなり歩き回りました。

歩いている人の感じから治安をチェックしたいのもありますが、最寄り駅からの歩いた感じ、どんなレストランやお店があるのかいろいろと見て回るといいと思います。

3:申し込み契約書(オファー)を送る

大まかなオファーの手順は絵日記で描いた通りなのですが、気に入った物件があるとまず買い手側の不動産業者が用意するオファーの書類(申し込み契約書)に私たち買い手がサインし、これを売り手側へ送らなければなりません。

この申し込み契約書、30ページくらいの細かいもので、最初のオファーの際には不動産業者のオフィスを訪れて、書類の内容を説明してもらいながら必要な箇所に夫婦で署名をしました。

2回目のオファーからは同じ書類で物件の住所や売り手の名前などが変わるだけなので、Eメールと電子署名でやり取りをしましたが。

この申し込み契約書で私たちが注意をはらったのがこの4つ

 駐車や収納スペースの番号

さすがに物件の住所は間違っていませんが、気をつけないと部屋と一緒についてくる駐車・収納スペースのユニット番号がたまに間違っています。

内見したときに駐車スペースや収納スペースを見せてもらい、その番号を控えておいて書類とあっているか確認しましょう。

 売買契約成立の期日

セトルメント・デイト(Settlement date)とよばれる売買契約成立期日までに買い手側は銀行のローンの正式申し込みをして承認をもらい頭金を支払わないといけません。

実現可能な日付になっているのも大切ですが、この日までにやらないといけないことが多いので、この日付を頭にいれておくといいと思います。

また何度も申し込み契約書の使い回しをしていると、不動産業者がうっかり日付を変更し忘れる事もあるので要チェックです。

通常は申し込み契約成立から1ヶ月くらい先の日を設定するようですが、私たちの物件は入居者がまだ住んでいたので売り手からの申し入れで1ヶ月半ほど先の日を設定しました。

 インスペクションの条件

売り手がオファーを受けると、買い手は第3者のインスペクター(建物検査員)を雇って、水道や電気、すでに設置されている電化製品などを含めて物件の状況をチェックしてもらうことになります(インスペクション)。

これで家の状況が悪いと修理の費用について売り手と交渉したり、最悪の場合は購入を中止できるのですが、その交渉可能期日が申し込み契約に設定されているので確認しましょう。

私たちの場合は申し込み契約成立後7日間が交渉可能期間でした。

 売買契約締結直前の最終チェック

申し込み契約成立から売買契約成立までの1ヶ月くらいの期間に物件の状態が変わるかもしれません。

なので売買契約締結(クロージング)直前に購入する物件を訪れて物件の状況を最終チェックすることも大切です。

特に内見やインスペクションをしたときにまだ入居者がいる場合には、売買契約を結ぶ直前に修理、引越し、掃除が終わっているかを確認する必要があります。

この売買契約直前の最終チェックができるかどうかが申し込み契約書に記載されているかも確認しましょう。

4:申し込み契約が成立する

さてこの私たちがサインした申し込み契約書に銀行からもらっているローンの事前承認書類、さらにエスクロー会社(後で出てきます)へ支払う手付金の小切手のコピーを添えて不動産業者を通して売り手へ提出します。

売り手側がいくつかあるオファーの中から私たちを選んでくれて、売り手が申し込み契約書にサインをして、晴れて「申し込み契約」が成立です。

ただ、この「申し込み契約」はこの物件を「購入する権利」を手に入れただけでまだ「売買契約」には至っていません。

クロージングと呼ばれる売買契約にはまだまだやることがいっぱいです。

 不動産購入手続き:申し込み契約成立から

さて、「申し込み契約まで」では物件購入の手続きを順を追って書いてきましたが、この「申し込み契約成立から」編での3つの手続きはすべて同時進行していることを心に留めておいてください。

インスペクション(Inspection)をする

私たちの場合は申し込み契約成立後7日間が修理などの交渉可能期間だったので大急ぎでインスペクター(建物検査員)を雇って購入する予定の物件に不備がないかチェックしてもらい報告書を作成してもらいました。

その報告書を元に修理して欲しい箇所を書き出して「申し込み契約」の追加ページとしてして売り手側へ渡します。

売り手がこの修理条件を受け入れて追加ページにサインをしてくれて交渉成立です。

実際には書類のやり取り以前に売り手と買い手の不動産業者がお互いの条件を口頭ですりあわせています。

私たちはこの修理箇所に加えて壁のペンキ塗り替え、絨毯や部屋の業者クリーニングも条件につけたしました。

また引き渡し(売買契約)直前に不動産業者と私たちで物件の最終チェックにでかけました。

何カ所はきちんと修理されていなくて、壁のペンキ塗りも一部、塗り終わっていないところがあったので写真をとって売り手側へ抗議してもらいました。

結局、売買契約直前だったこともあり、売り手から修理にかかると思われる費用をもらうことで決着しました。

銀行へローンの正式申し込みをする

申し込み契約の際に2つの銀行からローンの事前承認をもらっていたので、条件を比べてそのうちの一つに決めローンの正式申し込みをしました。

銀行からは私たちの経済状況を証明するいろいろな書類の提出を求められます。

あわせて銀行側は独自に、購入予定の物件が貸すお金だけの価値があるかを評価します(appraisal)

私たちが本当に苦労したのがこの銀行とのやりとり

私たちの物件は申し込み契約が成立した時点でまだ入居者がいたこともあって、「申し込み契約」から「売買契約」まで普通よりも長い期間がありました。

にもかかわらず、銀行が動き始めたのは売買契約を成立させないといけない期日の直前。

最初に銀行から言われた書類を提出した後、あまりに銀行の反応がないので、エスクロー会社、不動産業者、そして私たちがせっついてやっと腰をあげた感じでした。

さらに私たちの支払い能力を調査する担当部署や下請け会社が何度か変わったからという訳のわからない理由で、最初に提出した同じ書類をまた提出してくださいとのこと

結局、売買契約を成立させないといけない期日の前日にもローンの正式承認の書類が準備できず、銀行の偉い人が電話をかけてきて謝る騒ぎに

その間に不動産業者は「申し込み契約」に記載されている「売買契約成立期限」を数日のばして売り手側へ送って万が一、銀行が間に合わなかった事態に備えます。

結局、売買契約期日当日の夕方に銀行の承認がおりたと連絡をもらい、営業時間が終了したあとのエスクロー会社へ出向いて100ページくらいの契約書にサインをして無事、クロージングしました。

結局、銀行はおわびにと銀行の手数料をかなりまけてくれたのでそれはよかったです。

エスクロー(Escrow)会社とコンタクトをとる

さて先ほどから何度か登場しているエスクロー会社、これは申し込み契約が成立したあと、売り手側と買い手側の金銭や書類のやり取りを仲介する第三機関です。

エスクロー会社は公正な取引を安全に行う目的のもので、不動産の登記手続きも行ってくれます。

日本ではすべての手続きを不動産会社がするのでしょうが、アメリカでは申し込み契約成立までが不動産業者、申し込み契約成立から売買契約成立まではエスクロー会社と役割が分かれています。

さてこのエスクロー会社、面倒くさいことはほぼやってくれます。

まず申し込み契約が成立するとすぐに手付金を支払わないといけませんが、その手付金、さらに頭金もこのエスクロー会社に支払います。

また銀行のローン承認の最終書類もこのエスクロー会社へ渡されます。

さらに物件の購入価格以外のクロージングにかかる諸費用の計算も、固定資産税やマンション管理費、各種の保険費用(名義保険、災害時の家屋保険、家電の修理保険)や銀行や不動産業者に支払う手数料を考えて計算し、買い手が一括でエスクローに支払うと、個々に支払ってくれます。

また不動産登記に関しても選択肢を教えてくれて手続きをすすめてくれます。

ちなみにエスクローから提示された選択肢は3つ

 共有不動産権(Tenants in Common)

物件の所有権のパーセンテージを決めて夫と私で別々の所有権を持つことができます。

 生存者への譲渡の権利付き含有不動産権(Joint Tenants with Right of Survivorship) 

これは夫と私が共同で不動産の所有権を持つことができ、もし一方が死亡すると自動的に所有権がもう一方へ移ります。

 連帯不動産権(Tenants by the Entirety )

これは夫婦間でしか使えないもので、共同で不動産の所有権を持ち一方が死亡すると自動的に所有権がもう一方へ移るのは共有不動産権と同じです。

しかしこの契約は離婚でしか破ることができないので、結婚中に私の権利の一部分を他人に譲渡したりはできません。

この中の一つを選んで連絡をするとエスクロー会社が不動産の登記を行ってくれるのです。

こうしてすべての準備が整ったことろでエスクロー会社の弁護士と一緒にすべての書類に目を通してサインをして売買契約成立となるのです。

根気と忍耐が要求されるアメリカでの不動産購入。不動産会社やエスクロー会社はプロなので手順をしめしてくれますし、必要なアドバイスもくれます。

手続き状況は地域によっても違うだろうし、日々変化しています。質問や疑問はどんどん不動産会社やエスクロー会社に投げかけてもいいと思います。

最後に、今回の経験で思ったのは自分たちが一番しっかりしないといけないということ。所詮、みんなにとっては他人事なので買い手の私たちが振り回されないように調べる事は調べて、聞く事は聞いてしっかりしないと思ったのでした。 

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