海外生活をはじめたころ、とてもとまどったのがボディタッチたっぷりの挨拶。ビジネスでの握手は問題ないのですが、親しくなってくるとそれだけではすみません。特にフランスは「ビズ」の国。今日はこの国で私が習得した「キスの挨拶」の仕方をご紹介したいと思います。

 絵日記:どうしてもキスができない!

私の家族は仲がいいけれど、ボディタッチは
小さい子どものころを過ぎると
ほとんどありませんでした。

そんな私の初めての海外生活

カリフォルニアでお世話になったご夫婦は、私に会うとき別れるときに必ずギュっとハグしてくれました。

自分の父親と同じくらいの男性のハグに
驚いたけれど愛情が感じられ
違和感はありませんでした。

たのは「キスの文化」

フランスでは
「こんにちは」「さよなら」代わりに
地域によって2回から4回
ほほにキスをします。

パリでは左右のほほにチュッチュッと2回が主流でした。

これは男女関係なく 
またプライベートな集まりだと
初対面でもキスをすることになります。

例えば友人で集まるディナー

到着するとみんなが立ち上がってくれるので端からひとまわりずっとキスをして渡り歩きます。たまに「だれ?」って思うけれど、まあ、友だちの友だちは友だちなので

これって衛生面からも抵抗のある方も
いらっしゃるかとも思いますが、私は

「3秒ルール」ってありじゃないと思っているので、あまり疑問も持たずにチュッチュッしていました。「3秒ルール」とは食べ物を床に落としても3秒以内なら拾って食べてもOKというもの

ただ、とても仲のいい女友達どうしでも
キスをしないことがたまにあって

それはおめかししているとき 口紅が相手のほほにくっつくのを避けるためチュッチュってキスするふりをします。

さて、こんな感じでフランスのキス文化に
とけ込んだのですが

唯一、私がどうしても
キスができない場面があって
それが

相手が日本人のとき 「ボンソワ」「ボンソワ」「えっ日本人?」

そして、こうなります。

「こんにちは」「はじめまして」

これはフランス人と日本人の友人が
まざっている集まりなんかで
とてもよく起こります。

そしてその友人が
とても仲のよい女友達でも

「まっ 私たちはいいよね」「そうね」

ってなります。

日本人同士のキスって
どうしてこんなに敷居が高いんだろう


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この微妙な感情をあえて説明しようとすると、フランス人化していた自分がいきなり日本人にひきもどされる瞬間。

もしくはフランス人のなかで頑張ってフランス人と同じように振る舞っている自分を突然、客観的に見た気恥ずかしさってところでしょうか。

日本人以外とは問題なくキスできるのに日本人相手だと恥ずかしくなってしまって不思議です。

文化というものはひとりで作るものではなく人と人との関係性のなかで育つということでしょうか。だって日本人同士で挨拶でキスなんか普通しないしね。

 挨拶でキスをするシチュエーション

さて、このフランスのキスですが「ビズ(bise)」と呼ばれるもので日々の挨拶に必ず登場します。ではどのようなシチュエーションでビズをするのでしょうか。

もちろん地域差もありますしその時々の状況でも変わってくるのですが、私が経験した一般的なビズのシチュエーションをご紹介したいと思います。

初対面でもキスをするの?

まず、だれとキスをするのかということですが、友人同士やプライベートの集まりでは、女性の場合、相手が初対面でもキスすることの方が多いです。

ただ、こちらが日本人ということなので気をつかって握手をしてくれるジェントルマンな男性もいます。

私の場合はその後、またその人と会う機会があったときに握手なのかキスなのか混乱するので、もうみんなまとめてキスをしていました。こういう時はあえて女性の私からキスをしにいきました。

男性同士では、初対面ではほぼキスをすることはなく握手をすることになります。でもとても仲のよい友だち同士や家族間なら男性同士でもキスで挨拶も普通にあります。

またこの挨拶の「ビズ」を拒否することはとても失礼なので気をつけましょう。

どうしても知らない人や友人にビズができないという方はあらかじめそう宣言してしまった方が自分も相手も楽なように思います。

また目上の方には自分から真っ先にビズをせずに相手の反応を伺ったほうがよい場合もあります。

逆に小さな子どもには最初からガッツリと、思春期ざかりの男の子は微妙ですがたいがいは問題なくビズをしてくれると思います。

職場での挨拶にビズは必要?

ビジネスの場では初対面は女性でも男性でも基本は握手から始まります。その後、キスで挨拶をする関係になるかどうかはケースバイケースです。

私が経験したフランス語圏の職場・その1では同僚とは日々の挨拶ではビズをしませんでした。けれど長期休暇前や休暇明け、なにか特別にしてもらったとき、送別会といった特別な場合にはビズをしていました。

その後、職場・その2でも、同じような感覚で深く考えずに同僚と日々ビズをせずに仕事を始めたのですが、ある日同じ部署の同僚同士が毎朝、きっちりとビズをしていることに気がつきました。

それでみんなとビズをしはじめるようになったのですが、しばらくたってから「新しく来た人、ビズもしなくて失礼ね」って言ってたのよと教えてもらってビックリしたことがありました。

また職場以外の仕事関係者は、本当にケースバイケースです。必ず握手から始まりますが大きな仕事を一緒に終えたとき、夕食を一緒に食べに行った後、出張に一緒に出かけた後など、なにかの機会で握手からビズに変わることがよくあります。

どちらにしても相手があること。周りの環境や慣習、相手の状況をみてビズをするかどうか判断しましょう。

 フランスの挨拶「ビズ」の仕方

ビズで測る相手との距離

さて、このビズ、キスというほど日本人が思っている「キス」ではありません。またビズをする相手との関係によってキスの程度も変わってくることが多くあります。

初対面の人とはビズをしますが、これはキスというよりはほほとほほを合わせているだけです。また初対面なので合わせるほほは比較的耳に近い部分になります。

それでは味気ないので場合によっては、ほほを合わせると同時に唇で軽く「チュッ」「チュッ」と口で音を作って挨拶することが多いです。

そして、相手との関係が深くなってくると合わせるほほの位置が唇に近づいてくるように感じます。また一方の唇が相手のほほに触れるようにもなってきます。

ただ人によっては最初から相手のほほにがっつりキスをしたりされたりということもあります。また、相手のビズの仕方で自分への信頼度を測ると言った年配のおじさんもいました。

なので、私は初対面の軽いほほ合わせから、徐々に相手の私へのキスの程度を観察し、それにあわせて私のキスの程度も変えていました。

気をつけないといけないのは友だち同士でいくら親しくなっても唇と唇の距離がとても近くなることはほぼありません。

接触せずに「ビズ」をするときも

それでもどうしてもビズをしたくないとき、出来ないときがあるかもと不安に思っている方もおられるでしょう。そんな時はどうしたらいいのでしょう。

 風邪をひいているとき

あえてキスをしないケースで一番多いのは風邪をひいているとき。相手が挨拶のキスをしようとしたら、手を口の前で振って「風邪をひいてるから(Je suis grippée)」といって唇をとがらせて「チュッ」「チュッ」と音だけだします。

キスをしたい気持ちは十分あるんだけれどできなくてごめんねというジェスチャーですが、これは友人同士ではよく使いますが、あまり目上の人には使わないかもしれません。

また自分が風邪をひいていると自覚しているときは、必ず「風邪をひいている」と言ってキスをしにいかないようにするのが礼儀です。

 お化粧をしっかりしているとき

さらに絵日記で紹介した口紅をしっかり塗っているとき、というよりしっかりお化粧をしている場合。

フランスではパーティなどの華やかな場所以外ではきっちりとお化粧をしていないことが多いです。なので普段は気にしないのですが、パーティなどの場合、お化粧もくずれますし相手にファンデーションや口紅がつくのもどうかと。

このようなシチュエーションではお化粧をしている女性のほうから「お化粧しているから」と言いますので、その際はビズの挨拶を控えましょう。

相手の女性が気にしていない場合は、そしてあなたが気にならないならいつも通りビズをしても問題ありません。

 投げキスも試してみよう

また少し距離のある相手と「こんにちは」や「さようなら」の挨拶をするときには唇にかるく片手をあてて投げキスをしたりもします。

これは便利で、例えば友人の集まりで、自分の周りの人とビズをしたものの遠くに座っていて、場所も狭くてそこまでたどり着くのが大変な場合、投げキスでビズを省略します。

ただ、これは私の勝手な感覚ですがあまり目上の方にはしない方がいいと思います。おなざりなキスで失礼な感じがするので。私は目上の方にはよほど親しくない限りしませんでした。

さて、このようにフランス生活では日常の一部となること間違いなしのビズの挨拶。結局のところ軽いキスなんてフランス人にとってはどうってことないってことでしょうか。

逆に、簡単にキスをしない日本人だからこそほっぺへの軽いキスでもとても大切で素敵なものになるのかもしれませんね。

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